天文学の歴史がメインなのですが、基本的な天文学の用語集も用意してみました。
  それにしても宇宙に関する言葉って、スケールが大きくてワクワクしますねぇ…。



 あ 〜 お

 アメリカ航空宇宙局
 いわゆる有名な「NASA」で、日本でもおなじみです。ちょうどアメリカとソ連が宇宙開発で火花を散らしていた1958年に設立され、武器になる物以外すべての航空宇宙分野を担当することになりました。アポロ計画をはじめ、様々な宇宙開発分野で世界をリードしています。日本でNASAに相当する組織は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)です。

 暗黒物質
 ゲームやSFなんかで見かけるダークマターですね。実在しているのは理論・観測どちらからも間違いないのに、どうしても直接検出できないという変わった存在です。だいたい宇宙の物質の90%以上はコレが満たしているらしいです。

 インフレーション理論
 ビッグバン直後の宇宙の状態について説明する理論の1つです。解説していくととんでもなく長文になるのでやめますが、「無からの宇宙創世」がどのようにしてなされたか、という壮大なスケールの理論です。日本とアメリカの物理学者によって提唱されました。

 宇宙速度
 地球上から打ち上げる人工衛星やロケットが、地球の引力を振り切って軌道上に乗せるのに必要な速度のことです。ロケットの場合は最低でも秒速11.2キロメートルという速度(第2宇宙速度)が必要です。さらに16.7キロメートル以上の秒速(第3宇宙速度)で打ち上げると、太陽系の引力を脱して太陽系外に向かうことが出来ます。



 か 〜 こ


 皆既日食
 月が太陽と地球の間に入り、太陽を隠してしまう神秘的な現象です。観測地域は日食ごとによって変わってくるため、どこででも観測できるわけではありません。皆既日食の時にしか観測できない現象も多いようです。ちなみに、次回は2009年に種子島等で皆既日食が見れるらしいです。

 銀河系
 数千億個の星々からなる集合体の中で、地球を含めた太陽系が属するものを銀河系と呼びます。直径約10万光年、恒星する星の数が2000億個という巨大な集まりが銀河系ですが、この銀河系も何十かの銀河が集まった「銀河団」の1つであるそうです。もう想像もつかないスケールですね。

 光害
 都会で天体観測をしようとすると、たいていコレに悩まされます。街の明るさが星を見るのを邪魔することです。ヘール・ホッブ彗星がくる時期に、お役所主導で家庭内の明かりを暗くしよう(彗星を見やすくしよう)という呼びかけがあったりもしたようです。

 恒星
 惑星や衛星とは違い、自分の内部に蓄えたエネルギーを燃やすことで発光する天体のことです。単に「星」といった場合は、この恒星を指すことが多いです。いちばん身近な恒星は、いうまでもなく太陽ですね。地球からでも大型望遠鏡を使うと、10億個以上の恒星が観測可能らしいです。

 光年
 よく宇宙の距離を示すときに使う用語で、光が1年間に進む距離のことです。光は1秒間に約30万キロメートル進むから、計算すると1光年は約9兆4600億キロメートル(!)というものすごい距離になります。地球から100万光年離れた星の光が見えたとしたら、それは100万年前にその星を出発した光だということです。



 さ 〜 そ

 彗星
 太陽の回りをまわる天体で、太陽の近くにきた時にしか観測が出来ません。中心角の大きさは数キロメートルくらいが多くて天体というにはかなり小型です。ハレー彗星や百武彗星、ヘール・ホッブ彗星なんかが有名どころですね。ちなみに昔は「ホウキ星」と呼んで、何か不吉な前兆と考えたそうです。

 星座
 天空にある、特に明るい星の配置を動物や物の形にあてはめた見方です。現在、88の星座があり、正式には国際天文学連合(IAU)が定めたものらしいです。すでに紀元前数千年から星座の考え方はあったそうですが、今の形に近くなったのはギリシャの天文学者、プトレマイオスが著書の中で48の星座について記述した頃だったといわれています。

 SETI
 このサイトのリンクページにもリンクを張ってます。地球外から飛来する電波を調べることで、宇宙の知的生物からの通信をキャッチしようという「地球外生命探査計画」のことで、1992年からNASA(アメリカ航空宇宙局)が開始し、打ち切られた後も草の根レベルで継続しています。それにしてもUFOとか宇宙人の存在を躍起になって否定しているNASAがこの計画を最初にはじめたなんて、何だか愉快ですね。



 た 〜 と

 超ひも理論
 なんか子供のころ、よくテレビとかで話題になってた記憶があります。別名「超弦理論(ちょうげんりろん)」とも言うらしいです。物質において発生する重力や電磁力などさまざまな力を、10次元世界のひもを使って統一的に説明しようとする理論です。

 天文単位
 天文学の世界でよく使われる長さ(距離)の単位で、約1億5000万キロメートルです。とほうもない数字ですね。地球と太陽の平均距離が元になっています。

 等級
 果物や野菜の等級ではなく、星の明るさを示す数値です。明るい星ほど等級の数字が小さく、等級が1つ違うと、見える明るさは2.5倍ほど違ってきます。星が同じ距離にあると仮定した等級を、絶対等級と呼ぶこともあります。

 ドレイク方程式
 地球外に生命がどのくらい存在するかを推定するために、アメリカの天文学者が考案した方程式です。天体が形成される速度、星間通信が可能な文明の発生率等色々な要素を使って計算します。この方程式を使い、銀河系だけでも数千以上の文明があるという研究者さんもいるようです。夢があっていいですね。



 な 〜 の

 南極星
 北極星は北半球の人間なら誰でも知っていますが、現在は南極星にあたる星はありません。ただし地球の自転軸がブレること(歳差運動)によって、過去や未来に南極星に該当する星が登場することがあります。奥が深いですね。

 二重星
 2つの星(恒星)が接近して重なっているように見える現象。3つ以上の場合もあるので「重星」ということもあります。ほんとうに星が接近している場合もありますが、たんに地球から見た方向が同じのときも、観測者から見れば重なっているように見えます。

 ニュートリノ天文学
 宇宙からくる素粒子(ニュートリノ)を観測する天文学の研究分野で、2002年に小柴昌俊がノーベル物理学賞を受賞したことで有名でしょう。銀河や恒星の崩壊によって出されるニュートリノを観測することで、超新星が爆発するさいのモデルを確立したり様々な宇宙現象を解明することができます。ニュートリノの存在は1930年代から予言されていましたが、実際に原子炉から検出できたのは25年も後のことでした。ちなみに「スーパーカミオカンデ」等の観測装置が山の地下にあるのは有名な話ですが、山がうまい具合にフタの役割をして、観測に余計な要素が入り込まないようにするためです。



 は 〜 ほ

 パーセク
 光年、天文単位と並んでよく使われる距離の単位です。具体的には約30兆キロメートルで、1パーセクは1光年のさらに3倍以上! もう想像もできない距離ですね。

 反物質

 百科事典によると「地球上で知られている通常の物質を構成している粒子に対して、特別の意味で鏡像関係にある素粒子である反粒子からできている物質」です。これもSFなんぞでお馴染みでしょうか。「反物質で出来た惑星がある」なんてロマンある響きですよね。意外と古い1920年代にその存在が予言されて、1990年代には実際に(瞬間的ではありますが)、地球上で反物質の1つである「反水素原子」が合成されています。

 ビッグバン理論
 わりとメジャーな用語じゃないでしょうか。宇宙ができる瞬間に、何が起こったかを調べる学問です。ちなみに現在わかっているのは、宇宙が誕生してから10のマイナス44乗秒後の世界までだそうです。うーん、想像ができない…。

 ブラックホール
 よく一般にも知られていますね。入ってしまうと絶対に逃げ出せない空間(正確には天体)のことです。光さえも逃げ出せないので、観測すると黒い穴に見えます。これがブラックホールの由来です。最近では実際に、太陽の質量の数百万倍から数億倍という超巨大なブラックホールが観測されたりしています。

 ホワイトホール
 ブラックホールに対する概念で、あらゆるエネルギーが放出される穴のことです。理論的にはありえますが、実際に存在するとは考えられていません。



 ま・や・ら・わ行

 メシエ天体
 星雲や星団のナンバリングのようなもので、「M○○星雲」という呼び方をされます。もともとはフランスの天文学者メシエが、彗星と紛らわしい天体のリストを作成したのが起源です。新しい彗星を探すのに、似たような星雲があったら確かに紛らわしいですよね。現在は110までのナンバーがあります。

 流星
 いわゆる流れ星です。宇宙空間をただよう小さな物質が地球の引力にひきよせられて落下し、大気との摩擦で燃え上がって発光する現象です。個体状のものが最後まで燃え尽きずに地表へ落下すると「隕石」と呼ばれます。

 ロシュ限界
 衛星や惑星が、その主星の潮汐力(変形させようと働く力)によって破壊されずに存在できる限界距離のことです。

 惑星
 水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星の9つの星で、太陽の回りをまわって、その光を受けて輝いている天体のことです。太陽から見て地球より内側にあるか外側にあるかによって、内惑星と外惑星に分かれます。冥王星を除くすべての惑星は、ほぼ同じ軌道面上を公転しています。惑星といえば太陽系の9つの天体を指すのが一般的ですが、かに座55番星系、アンドロメダ座イプシロン星系など太陽系以外の惑星系も確認されています。

 惑星探査機
 地球を周回する人工衛星と似ていますが、惑星探査機は太陽のまわりを周回する人工天体です。惑星を観察するだけではなく、着陸機を送り込んだりもします。元祖は1959年に旧ソ連によって打ち上げられた「ルナ1号」で、月にぶつけるつもりが、軌道を外れてそのまま太陽の回りを周回する人口惑星になりました。アメリカでは少し遅れて1962年の「マリナー1号」からですが、現在、火星より遠くの惑星(木星など)に探査機を送り込めたのはアメリカだけです。今のところ技術的な問題により、太陽系内しか探査の対象にはできないようです。